ネット論客論駁ノート(2)「シンプルに反論する」
【前記事】
おはようございます。
当地では、週末はまた雨予報でして、ここ数年、仕事の90%は在宅なので、まあお天気にあまり左右されない生活を送っているのですが、週末に雨予報が続くと、何ともめぐり合わせの悪さを感じてしまいますね。
5月、6月くらいの雨は新緑の匂いが立ち込めるので、わりと好きなんですが。
今日は、twitter上の議論をするうえで考えていることをおしゃべりします。
いつも考えていることは、シンプルに、簡潔に意見を言う。
言葉足らずでも良いので、できるだけ簡潔に発言することを心がけています。
twitterの仕組み上、140字しかないので、文は意を尽くさずという言葉がありますが、たいがいの法律問題は、140字では説明はしきれません。
なので、シンプルに、ガツンと言うことだけ心がけています。
この懐かしいCMみたいに。
要は一言目は、相手の注意を引けば良くて、後で追加で言葉を足していけばOK、と考えているのです。
それで、かつてはこんな暴言を吐きまくっていました。
悪い例です

これ、女性(TrinityNYCさん)に「若い女性への嫉妬」と揶揄してきた男に対して、一言で斬って捨てた発言。
ヘイトスピーチにもこの一言。

みんな先祖はアフリカだよ。
しかし、こういう暴言を吐いていると、当たり前ですが、ネトウヨから報復の通報攻撃を受け、何度も凍結の憂き目にあいます。(要するに愚行です。)
昭和生まれで、バカアホは日常会話で言い合ったコミュニティ(要するに上品ではないコミュニティ)で生きてきたのですが、令和になった21世紀では、少しは進歩を見せなければなりません。
良い例
私がいつも上手いなあと思っている方は、「正しい弁論家」さんです。
(他にも上手いなあというツイートの方は、実はたくさんいらっしゃるのですが、このニュースレターでご紹介できる許可をいただだいた方を掲載していきます。)
マーサ・ヌスバウムの著作をプロフィールページに挙げる、かなりマイナーな学究のようですが、相手の論理の穴を突くのが抜群に上手い。
というか、性格は本当は悪いのでしょう。そんなことばっかり考えているフシがある。
例えばこれ。
※twitter直接リンクだと大量の返信先が表示されてしまうため、画像を掲載しています。

https://twitter.com/deoratore2019/status/1381159946230763521?s=20
選択的夫婦別姓に反対する方が、「事実婚を選べば良いじゃないか」と主張してきたのに対する返答です。
知識のある方なら、正しい弁論家さんの発言に「事実婚と法律婚を」という言葉を、文頭に補うでしょうが、それすら省く。
「かず」さんの立場なら、これならいくらでも突っ込み返しができるように見えます。
正しい弁論家さんはたぶん、それを待ち構えています。
他の方への反論で、それが明らかになります。

https://twitter.com/deoratore2019/status/1379556609987203072?s=20
委員長さんは、同姓婚が嫌なら結婚するな、と挑発してきましたが、正しい弁論家さんはきっちり指摘して反論しています。
おそらく、前の「かず」さんに対しても、同様のレベルまで意図を明らかにして反論しても良いのでしょうが、最初からそこまではやらない。
あくまで、簡潔さを徹底する。
その意図は、
合理性を説明する責任は誰にあるのか
を相手に分からせるためです。
知識のある方なら、憲法14条、24条の標準的な解釈論や、2015年の最高裁判決の判断枠組みをご存知でしょうから、140字でもかなりの程度、説明が可能でしょう。
でも、それをしたら相手にラクをさせることになる。
シンプルに批判して、「反論があるなら合理的な根拠を提示せよ」と暗にプレッシャーをかけ、相手に対し、本来果たされるべき、公正な説明責任を求め続ける。
そして、相手に絶対にラクをさせないように追い込んでいくのです。
ネットの議論は裁判官が訴訟指揮をしてくれるわけでもなく、審判も議長もいない世界なので、議論がフェアで対等な流れになっていかないのです。
ネットの議論が不毛、と誤解されてしまう元凶ですね。
私は実はそうは思っていません。
最近は、ビジネスの世界でも取引の合意を図る心理学(行動経済学の一部)や交渉学といった研究分野が開拓されていますが、「科学的な駆け引きの仕方」を多少覚えておけば、かなりの程度、自分で議論の筋道をコントロールすることが可能です。
そして、こうした手法は、ビジネスの現場にも還元可能な技術でもあります。
(この連載続く)
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